平成28年度 首都直下地震時の 災害ボランティア活動 連携訓練 概要報告書

平成26年度より実施している「首都直下地震時の災害ボランティア活動連携訓練」について、平成28年度は立川断層帯地震を対象に多摩地域(北多摩北部、北多摩西部、北多摩南部)で要配慮者支援をテーマに訓練を実施、訓練を通して多摩地域でのネットワークづくりを進めました。

 

日 時 平成29221日(火)

    10101730

 

会 場 たましんRISURUホール展示室、

    サブホール(見学プログラム)

 

  ※たましんRISURUホールは、

   立川市社協の協力により、

   会場の確保を行った。

 

参加者 ①プレイヤー参加 39

    (都内33人、都外6人) 

      ※うち、東京都災害VCとして6団体9

        都内外の被災者支援に関わる

NPONGO職員や民間団体職員、関東ブロック社会福祉協議会職員、北北・北西・北南ブロック社会福祉協議会・VC職員が参加した。

 

    ②見学参加 61

 

都内区市町村行政職員、企業関係者、都内の被災者支援に関わるNPONGO職員や民間団体職員、都内社会福祉協議会・VC職員、大学VC職員などが参加した。

 

主 催  東京都災害ボランティアセンターアクションプラン推進会議

協 力  株式会社ゼンリン、東京大学生産技術研究所 加藤孝明研究室

プログラム1】

プログラム1では、過去の訓練の振返りとともに、今回の想定地震である「立川断層帯地震」の被害想定について、東京大学生産技術研究所准教授の加藤孝明先生に講演を頂きました。立川断層帯地震の特長として、他の地震と比べ、震源域が浅く、立川市やその周辺を中心に震度7の地域が市町村域を超えて広がっていること。また、それにより、建物倒壊や火災による被害が甚大であることなどを教えて頂きました。

 

【プログラム2】

訓練の対象地域となった北北ブロック、北西ブロック、北南ブロックの各グループには、

社協・VC職員とNPONGOが入り情報共有・検討を行いました。

 

 

◆各ブロック(北北・北西・北南)のワーク

 

3つのブロックについては、訓練実施前に集まり、それぞれのブロック域における被害状況や拠点情報を地図に落とす作業を行っており、訓練当日はその状況を簡単におさらい。その後、事前準備シートにもとづいて発災直後から1か月後までに想定される被害状況と支援状況を参加者同士で共有しました。

 

 

◆都外支援団体のワーク

 

 都外から参加した主に県域の団体については、立川断層帯地震の被害について地図で確認した後、事前準備シートに沿って発災直後から1か月後までに想定される被害状況と支援状況を参加者同士で共有しました。共有後は、被災地に対して直接情報を把握するということで、東京都災害VCのグループや各ブロックのグループに移動し、具体的な被災状況や必要な支援について情報交換を行いました。

 

 

◆東京都災害VCのワーク

 東京都災害VCのグループでは、事前準備シートやシナリオ(①被災地域(北北・北西・北南)の情報、②都内の被災していない地域の情報、③支援団体の情報、④都庁災害対策本部の情報、⑤災害福祉広域調整センターの情報)をもとに、都域での情報の整理を行いました。

 

◆第1回情報共有会議

 

 東京都災害VCが進行し、各ブロックならびに都外支援団体が集い、情報共有を行う模擬会議を開催しました。情報共有会議では、立川断層帯地震による被害の共有を行いました(被災から3週間後の想定)。

 

 ブロック内でも被害の大小があることや避難者の移動が行政区域を超えて出てくる可能性も示唆されました。また、訓練対象地域外でも杉並区や八王子市、日野市等で火災延焼が大きいことなども分かりました。

 

 最後に、東京都災害VCから今後、特に要配慮者の避難生活環境の悪化への配慮が呼びかけられ、会議は終了しました。

 

【プログラム3】

 

◆各ブロックのワーク

 

ワークは前半と後半に分かれ、前半は被災1か月後の想定で各地域における要配慮者の状況ならびに支援状況を共有しました。具体的には、①高齢者、障害者、各ブロックごとに設定された対象者(北北…乳幼児・妊産婦、北西…子ども、北南…外国人)の状況、②各市ごとに特有の課題、③要配慮者の関係で連携・相談できる団体を共有しました。

後半は、要配慮者の所在をどのように把握するか、ブロック域で共通してできる方法や他の地域の団体と連携してできる方法などを検討しました。なお、後半のワークには都外支援団体も入り、一緒に検討しました。

 

◆東京都災害VCと都外支援団体のワーク

 

 東京都災害VCのグループでは都外支援団体も入り「第1回情報共有会議」で共有しきれなかった情報を共有しました。その後、都外支援団体は各ブロックに入る団体と東京都災害VCに入る団体とに分かれました。

 

 東京都災害VCのグループでは、1か月後の状況付与をもとに、「①すぐに対応すること」「②支援団体に働きかけられること」に分類しました。例えば、企業や海外からの大量の支援の申し出、23区ボランティアセンターからの相談、マスコミからの問合せ等への対応について、東京都災害VCに関係する団体のリソースを確認しながら、どのように対応するか検討しました。その後、東京都災害VCとしての今後の方向性を検討しました。

 

 

◆第2回情報共有会議

 

 第2回目は1か月後という時間軸で同じく東京都災害VC進行により、各ブロックならびに都外支援団体の情報共有会議が設けられました。

 

 会議では、各ブロックでの要配慮者が直面する課題、また、所在の把握方法と連携団体が紹介されました。要配慮者の所在の把握方法として、ローラーによる在宅避難者の訪問、地域包括支援センターや障害関係の事業所、子育て支援団体、当事者団体へのヒアリングのほか、関係団体による会議体を設けて情報交換を行うなどの意見が出されました。

 

 また、都外支援団体からは、宿泊場所の問題も含め、どのように専門の団体・人材のリソースを被災地に送り込むかという意見が投げかけられました。

 

 東京都災害VCからは、東京都域に入った幾つかの支援の申し出・問合せに対して、どのように対応したか報告。特に、高齢者・子ども・障害者・乳幼児といった要配慮者関係の物資の問合せへの対応、また、要配慮者への専門スキルの支援(例えば、医療・介護系の専門職)の問合せをどのように地域のニーズにつなげていくかが課題となっていることが報告されました。

 

【見学プログラム】

見学者は全体で61名となりました。見学者はプレイヤーが実施する訓練内容を見るか、講義・意見交換に参加するか自由に選べる方式にしました(オープンドア)。また、見学者にはプログラムの落とし所などを事前に説明した上で、訓練の見学を行っていただきました。見学プログラムは下記の通りです。

No

内容

担当/講師

見学者オリエンテーション

真如苑SeRVWG

各プログラムの見どころ説明

ダイナックス都市環境研究所(WG

災害ボランティア用語集説明

ADRA JapanWG

過去の災害時における行政とNPONGOの連携事例

ADRA JapanWG

人道支援の国際基準の概要紹介

ジャパン・プラットフォーム

避難所における要配慮者について

ADRA JapanWG

見学者意見交換タイム

 

 

 

※その他、第1回情報共有会議・第2回情報共有会議を見学しました。

 

【講評】

 訓練の講評として、JVOAD(全国災害ボランティア支援団体ネットワーク)の明城徹也氏、名古屋大学の阪本真由美先生に講評を頂きました。

 明城氏からは、熊本地震で行われた火の国会議や熊本県との調整会議を報告いただき、東京都域でも民間連携や官民連携の取組みを進めて欲しいこと、また、今後はそのような訓練も充実させてほしい旨の発言がありました。

 坂本先生からは、地図の使い方の工夫や被害把握の方法に課題があること、また、情報共有会議も共有だけでなくニーズ調整までできるような工夫をしてほしい旨の発言がありました。

 

 

【企画・運営 訓練ワーキング・グループ】(ワーキングメンバーは下記の通り)

 

ピースボート災害ボランティアセンター 辛嶋友香里/減災と男女共同参画研修推進センター 浅野幸子/真如苑救援ボランティア サーブ (SeRV) 藤本直宏/ダイナックス都市環境研究所 津賀高幸/コープ災害ボランティアネットワーク 鹿野明美/NPO法人ADRA Japan 渡辺日出夫/北多摩西部ブロック社会福祉協議会(東大和市社会福祉協議会) 浅見拓紀/北多摩北部ブロック社会福祉協議会(西東京市社会福祉協議会) 飯塚和幸/北多摩南部ブロック社会福祉協議会(狛江市社会福祉協議会) 志田五十鈴

 

この訓練は、東京都共同募金会の助成金により実施しました。

 

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